暑くも寒くもない
この時
取り入れることも 捨てることもない
この時
全てが均衡を保っている
湿度と鳥の鳴き声と 風のバランス
世界は同時に存在するのか しないのか
言葉の羅列は白になり
意味を為さずに 消えていく
動かないような雲が 見ている
カタチないものから
存在をするまでに
存在をしてから 変化をして
新たな カタチとなるまでに
繰り返しをして
名前を付けられた モノとなるまでに
認識をされて 確立するまでに
ひとり歩きをして
新たな 意味をなすまでに
全体の一部となり 消えゆくまでに
散りばめられて
全ての要素となるまでに
2019.9.23
愛知県芸術劇場コンサートホール
あいちトリエンナーレ2019舞台芸術
公募プログラム
その存在が無いとしても
さらさらとした
蜜の流れに抱かれ
分かり合えないことも
また
生まれてしまった表現を緒として
風になびいて
のち
真ん中へ戻ること
瞬間に飽和している感情は
真実であるのか
山にも蟻にも同時に成り得る
葉脈の中にみえる
透き通った錆び
祝福の中
自他がなくなり
眠りにつく
あたたかな
渇きと赤い照り
生命の同調
泉のように湧き出でる
手放しの先には
出口をなくした煌めきと
気配の中の豊かな音
ひたすらに
瞬間に
飽和している
指の跡
呼び覚ますことのできる
ひかり
先へ向かう
2019.6.12
Hase
あいちトリエンナーレ2019舞台芸術
公募プログラム
プレコンサート
矢印の向かう先
存在は確認できずに
それでも
確かに流れゆくもの
中心を視ることはなく
翻弄されることもなく
相対を感じる時には
気付いていたものが現れ
上へと昇り
下へと降りる
... 雨が
落ちて
あたる
前に
捉えることは
できるのでしょうか
囲いの中の生ぬるい優しさ
三角形の端と端から見つめる景色
永続的を貼り付ける
まだ踏み入れない雪の上
心が通りすぎた後にも
そこかしこに現れる
仄暗いうつくしさ
不在であるかのようなそれは
平行線を辿る驚き
身体の中の音
思い出すことを
おもいだす
長谷川陽子 詩画集
2017 / designed by Hisaya Kojima
一直線と多方面に拡がりを携えて
奥行きをまといながら
一瞬もとどまることなく
進み続けている思い込み
曖昧なものを確立して
透明なものへ近づいていく
空間のせめぎ合う中に
うつくしさの姿を求める
ひとときもそれでなくとも
ここにある不思議
確固たる幻に